[防衛費を2%?]GDP比1%枠,予算の総額明示方式,NATO加盟国?

トランプ政権が誕生してから日本では「防衛費」の増額を巡る議論が再燃しています。トランプ大統領はNATO諸国の軍事費に不満を示しており、いつ日本へも矛先が向けられるか分からないとのことです。ここ数年は防衛費が微増している中、自民党がGDP比2%を参考数値にするとの話が報じられました。果たして実現可能なのでしょうか?

GDP比1%枠・総額明示方式とは?

今年度の防衛費(軍事費)は5兆1,251億円であり、一般会計予算のおよそ5%を占めています。日本の名目GDPが537兆円なので、GDP比では1%未満です。しかも、この5.1兆円という金額には在日米軍の再編費用が含まれているので、純粋な意味での防衛予算は4.9兆円ほどです。余裕で1%を下回っています。

 

防衛予算については詳しくは↓↓

日本の防衛費を5兆円に増額!

 

防衛費に関する議論の際に、この「1%枠」という基準がよく取り上げられます。元々は三木内閣が1976年に日本の防衛費をGNP(当時の指標)の1%以内に抑えると閣議決定したことが始まりです。当時の日本は安定成長の時代に入っており、経済成長に合わせて防衛費も増えていました。そこで、周辺国や国内の「平和主義者」の懸念を払拭するために1%という枠を設定したのが通説です。ただ、今では考えられませんが、経済が毎年大きく成長する時代なので1%でも防衛予算は自然増加します。つまり、自縛しているうように見せかけて、毎年増額できる仕組みを作ったとも言えます。

 

この1%枠は中曽根内閣で撤廃されましたが、一種の慣習として残ります。それを裏付けるように防衛費がGDP比で1%を超えたのはわずか4回のみ。しかも、1%枠を撤廃した代わりに5年間分の予算を公表する仕組みを導入します。「総額明示方式」と呼ばれるこの方法は突然軍拡しないようにするためです。ただ、今も踏襲されているこの総額明示方式は「5年間」という縛りがあるため、刻々と変化する国際情勢に対応できないという意見があります。

 

ここ数年は安倍政権が毎年0.8%ほど防衛予算を増額していますが、それでも1%枠を突破していません。平和主義なのか、財務省の慣習なのかは分かりませんが、防衛費の1%枠は「遵守」されています。しかし、これが今後変わるかもしれません。トランプ政権が同盟諸国の軍事費の低さに不満を抱いており、明言しているからです。

 

他国はGDP比でどれほどか?

まず、GDP比で言えば、日本の防衛予算は低いです。世界第3位の経済規模を持つ先進国であり、厳しい安全保障環境を抱える中で1%未満は低いレベルです。実額では一般的に先進国の軍事費は1.5〜2%程度が目安と言われています。そして、日本と同様にアメリカの同盟国であるNATO諸国は2%を求められています。実際、イギリスやフランスはそれぞれ1.9%と2.3%です。以下に主な国のGDP比での軍事費をまとめたグラフがあります。

 

見ても分かるように諸外国と比べて日本は低いです。同じ敗戦国のドイツやイタリアよりも低く、韓国やオーストラリアの半分以下です。もちろん、米ドル換算の実額では日本も世界8位になりますが、GDP比ではやはり足りていない感がありますね。意外にも軍拡路線のイメージが強い中国が1.9%であり、日本の軍事化を恐る韓国が2.7%です。

 

トランプ大統領はアメリカがほとんどを肩代わりしている割には同盟諸国の頑張りが足りないという認識を持っています。そのため、NATO標準の2%をほとんどの国が満たしていないため、不満を明言しました。その矛先がいつ日本にも向けられるか分からないので「2%」という数値が最近の議論にも現れています。自民党の安全保障調査会はNATOがGDP比2%を目標にしていることを「参考」にするとしました。その上で、日本の防衛に必要な予算を確保すべきとのことです。

 

GDP比2%は可能か?

 

まず、GDP比で何%という縛りには本来とらわれるべきではありません。防衛費は安全保障環境を鑑みた上で、国を守るために「必要」な額を確保すべきです。それがGDP比で1%なのかどうかは意味はなく、安全保障を確保するために十分かどうかが本来の論点のはずです。

その上で、あえて2%で考えてみます。GDP比2%を達成した場合、単純計算で日本の防衛予算は年間10.8〜11兆円になります。仮に米軍再編費用を含めたとしてもかなりの額となり、自衛隊の人員・装備確保および規模の拡大が可能です。以前の記事でも述べましたが、自衛隊は人員不足が深刻です。そして、確実に増強している中国軍に対して艦艇や航空機の「数」が足りません。仮に予算が10兆円もあれば、充足率を満たすだけの人件費も確保できる上に、装備の更新や調達、研究開発にも余裕が出ます。

 

しかし、実際に防衛費を倍増させることは財政的にも政治的にもかなり厳しいでしょう。実現するにしても10年間などの期間をかけて段階的に上げていくでしょうが、反対派や財務省の抵抗がかなりあると思われます。国民も防衛費の増額には理解を示していますが、「10兆円」という額にはなかなか頷かないでしょう。財源も仮に防衛国債などを発行しても、社会保障費や地方交付金などを削らないと無理でしょう。

そう考えると、海上保安庁の予算を含めたとしてもGDP比1.5%にあたる8兆円あたりが財政的にも政治的にも限界ではないでしょうか?もちろん、情勢に合わせて自衛隊がきちんと日本を守れるだけの予算を十分確保してほしいですが、意識改革をしない限りは残念ながら難しいですね。

 

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