[防衛省]自衛隊作戦を制服組へ一元化!背広組,優位,文民/文官統制?

有事における自衛隊の作戦計画を策定する際のプロセスを自衛隊の制服組(実際の自衛官)で構成される統合幕僚監部に一元化することになりました。これで昨年の防衛省の法改正に続いて背広組の優位が崩れました。「文民統制」の大原則は変わりませんが、防衛省内での「文官統制」は崩れたといえるでしょう。

 

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防衛省にはいわゆる官僚・役人の「背広組」と自衛官の「制服組」が存在します。まず、自衛隊の最高指揮官は内閣総理大臣です。そしてその下で防衛省と自衛隊を管理統括するのが防衛大臣です。従来の仕組みでは制服組は重要な案件(基本計画など)に関わっていましたが、防衛大臣を直接補佐することはできませんでした。防衛大臣の補佐は事務次官などの「背広組」が独占的にできるようになっており、これが「背広組の優位」と言われるものでした。

しかし、昨年6月に防衛省の法改正が実施されて制服組も背広組同様に防衛大臣を直接補佐できるようになり、いわば両者は「対等な関係」になりました。そして、有事の際に発動される自衛隊の作戦計画を策定する上でも今までは「背広組」が計画起案や大臣への承認申請を行っていました。制服組は実際の計画を作成するところを担っていました。しかし、今回の改編では計画起案、計画作成、承認申請の全てを「制服組」の統合幕僚監部に委ねることになります。これで作戦計画策定においてはむしろ制服組が優位となります。

 

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現在の統合幕僚長、河野克俊海将

 

では、なぜこのような改編を行うのでしょうか?
まず、今まで優位であった「背広組」は官僚、いわば役人であるため、「純粋な軍事分野」については実際に現場を知り、部隊運用をこなしてきた自衛官の「制服組」には劣ります。そこで自衛隊の実際の運用に関することは「制服組」に委ね、基本的な政策などは「背広組」に委ねて両者が対等な位置から防衛大臣を補佐する仕組みに変えたのです。さらに、今回の作戦計画は有事の時に実際に自衛隊を運用する根本的な部分であるため、部隊運用のエキスパートたる制服組に委ねたのでしょう。「背広組の優位」を崩して「制服組」を対等な位置まで持ち上げることでプロセスの効率化を図り、自衛隊がもっと即応的に動けるようにする狙いがあります。

 

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制服組

 

ここで、「文官統制」「文民統制(シビリアン・コントロール)」の崩壊危機だと危惧する声が出てきます。しかし、前者は正しくても、後者は間違っています。

もう一度おさらいすると、「文官統制」とは「文官」、いわば官僚が軍人を統制する仕組みです。つまり、「背広組の優位」ということになります。これが「崩壊」、変わったのは事実といえます。しかし、「文民統制」「シビリアン・コントロール」とは国民が選んだ代表たる内閣総理大臣が自衛隊の統率・指揮することです。ではこれは「崩壊の危機」に直面しているでしょうか?

 

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現在の自衛隊最高指揮官、安倍晋三首相

 

実際に改編後の防衛省の内部構図を見てみると最終的な承認は防衛大臣(文民)に委ねられ、最高指揮官はむろん内閣総理大臣(文民)のままです。「背広組の優位」が崩れはしたものの、「劣勢」であるわけでもなく、制服組の統合幕僚監部に監視役として重要ポストに配置されます。そして制服組が作戦計画の策定で優位になったとしても、背広組も従来通り防衛大臣を直接補佐できます。そのため、そこで背広組としての意見具申などは可能です。そして何より、国民によって直接選ばれた代議士で構成される国会による監視、チェック機能は健在です。ゆえに、今回のような「背広組」と「制服組」の関係の変化で「制服組(≒軍部)」がいきなりシビリアン・コントロールを崩壊させるほどの強い影響力と権限を持つわけではありません。

 

画像引用元:www.kantei.go.jp (首相官邸HP)
www.mod.go.jp/ (防衛省HP)
www.mod.go.jp/js/index.htm (統合幕僚監部HP)

 

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