[海上自衛隊]迎賓艇/特務艇はしだて!画像,性能,まつなみ?

海上自衛隊の艦船といえば護衛艦や潜水艦がまず思い浮かぶでしょうが、中には一見変わった船もあります。その一つが「特務艇」に分類される艦船です。「海の迎賓館(艦)」とも呼ばれるこの船のあまり知られていない役割について紹介していきます。

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「はしだて」は海上自衛隊が保有する艦船の中で唯一「特務艇」に分類される船であり、一般的にはあまり知られていない存在です。20世紀末の1999年に就役した「はしだて」は国内や海外からの来賓をもてなす式典、会食、懇親会などを行うことを主任務としている珍しい船です。そのため、武装は一切しておらず、外見も通常の自衛艦と異なっています。

賓客をもてなす場として運用されているため、「迎賓艇」とも呼ばれており、こちらの名の方が特務艇よりは浸透しています。海上自衛隊は「はしだて」以前にも掃海艇などを改良して迎賓艇として運用してきた歴史がありますが、最初から迎賓艇として建造されたのは「はしだて」が初めてです。

 

⚪︎性能:特務艇「はしだて」

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全長:62m

幅:9.4m

基準排水量:400t

乗員:29人

速力:20ノット(時速37km)

兵装:なし

 

船内には130人ほどが参加できる立食パーティー用の空間や開けた視界が確保された休憩室などがあります。そして諸外国の軍人との会談のための会議室や通訳室も備わっています。しかし、実は「はしだて」は非常時には簡易的な医療支援・救難指揮艇としての活躍もできるように設計されています。例えば、先ほど紹介したパーティー用のスペースはテントやマットを置くことで臨時医務室にすることができ、休憩室も病室として活用できるようになっています。そのための医療器具も常備されており、ただの迎賓艇というわけではないようです。そして船内にある会議室や通訳室も災害時には救難指揮所としての運用が期待できます。

 

本来の任務である「迎賓」についてですが、招くお客さんはマスコミ関係者や外国の軍人(主に海軍将校)が多いようです。特に後者は「外交」の一環として欠かせない要素です。「外交」と聞くと政府間や外交官同士を想像しますが、来日した海外将校や日本に滞在する駐在武官と交流を深める「軍人外交」も重要なのです。外国軍隊の要人やその「大使」たる駐日駐在武官と交流を深めてコネクションや信頼・友好関係を構築することは安全保障の観点から見て望ましいことです。

 

軍人外交の一例

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実際に戦争を遂行する当事者たる軍人同士が交流を深めて信頼関係を築けば、誤解や偶発的な事故による紛争の拡大を防ぐ効果などが期待できます。仮想敵国でも相手を知らない場合と相手軍の要人と顔見知りの場合では問題解決のために話し合いを始める際の難易度が違ってきます。さらに、テロなどで自衛隊を邦人救助のために派遣する場合は現地の軍隊と調整する必要があります。その際に相手国の軍人を知っていた方が情報提供や協力などで有利です。

このように軍人の世界でも人脈は必要不可欠であり、誤解や偶発的な事故による紛争を防ぐには顔が効く方が断然有利なのです。「はしだて」は内装の豪華さから時々「税金の無駄」と揶揄・批判されますが、軍人外交の場を提供する貴重な船であり、自衛隊と外国軍が人脈や信頼関係を構築する上で我々からは見えないところで役立っています。

 

海保の巡視艇(迎賓艇)「まつなみ」

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さて、「はしだて」は海上自衛隊唯一の迎賓艇ですが、実は海上保安庁にも迎賓艇と呼ばれる船があります。それが東京湾などを管轄する海上保安庁第三管区に所属する巡視艇「まつなみ」です。全長38mのこの小型巡視艇は貴賓室と呼ばれる部屋があり、政府要人や外国の海洋警察の要人を乗せて航行します。主任務は海上自衛隊の「はしだて」とほぼ同じですが、「巡視艇」であるため、巡視艇としての業務も行います。

 

画像引用元:www.mod.go.jp/msdf/index.html (海上自衛隊HP)
www.mod.go.jp/js/index.htm (統合幕僚本部HP)
www.kaiho.mlit.go.jp/03kanku/ (第三管区海上保安庁HP)

 

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