[イージスアショアとは?]陸上型イージス,性能,日本,自衛隊,導入,範囲,価格?

昨今の北朝鮮情勢を受けて日本でもミサイル攻撃にどう対処すればいいかの議論が活発化しています。従来の発射二段構えに加えて新たな装備を導入すべきという意見も上がっており、その一つに陸上型イージスの名前が挙げられています。聞きなれないこの装備は一体どんなものなのか?

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イージス・アショアとは?

日本のミサイル防衛では主に北朝鮮、中国のミサイルを想定しています。迎撃手段も海上のイージス艦地上のPAC-3ミサイルによるものであり、二段構えです。しかし、PAC3がいわゆる「最後の壁」であることを考えると海に囲まれている島国・日本では海上配備型が主な迎撃手段といえるでしょう。

しかし、ヨーロッパの方に目を向けると事情が異なります。ヨーロッパの主な脅威はロシアのミサイルであり、これに対する迎撃手段では地上配備型も重視されます。スペインに米海軍のイージス艦が配備されていますが、欧州大陸を防衛するためには地上に迎撃ミサイルを配備した方が効果的な上にコストも下げられます。その一つが今回述べる地上配備型イージス、別名:イージスアショアです。

1389397302273イージス・アショアの施設

「イージス」とはイージス艦でご存知の方が多いように、高性能なレーダーを駆使してミサイル防衛において有効とされるシステムの名称です。このイージス・システムは艦艇に搭載するために開発されて、イージス艦と呼ばれる艦に搭載されています。このシステムを地上の施設に配備したものが「イージス・アショア」です。名前の通り、陸に上がったイージス艦です。

イージス・アショアはロッキード・マーチン社が開発したものであり、具体的には地上にレーダーや迎撃用の「SM3ミサイル」を配備した施設です。この施設はイージス艦の艦橋に似ており、「陸上型イージス」と呼ばれる所以です。費用はPAC3などと比較すると高コストです。しかし、動く必要がないため、コストパフォーマンスでは以下の点でイージス艦に勝ります。

  1. 燃料費が不要
  2. 人員が少なくて済む
  3. メンテナンスが比較的楽

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ヨーロッパではイージス・アショアがルーマニアには配備されており、2018年までにポーランドにも配備する予定です。ほぼイージス艦と同様の役割を果たすため、弾道ミサイルを「大気圏外」で迎撃します。そのため、PAC3よりも射程ははるかに長く、探知距離は勝ります。

イージス・アショアを日本も導入!

さて、北朝鮮による弾道ミサイルの脅威が増す中、日本でも遂にこの陸上型イージスの導入を急遽決めました。導入するとなればアメリカから購入することになりますが、日本への販売を可能にする法案が既に米議会で2015年に可決されています。そのため、購入自体は円滑に進むはずです。

問題は価格と効力です。まず、価格については1基あたり800億円〜と推定されます。決して安い買い物ではありませんが、イージス艦が1隻あたり1,500億円ほどするのでまだ廉価な方でしょう。日本列島をカバーするにはイージス・アショアは2基必要とされています。これは現行の迎撃ミサイル「SM3ブロックIA」の場合であり、最新の「SM3ブロックIIA」を使えば1基で足りると言われています。

ただ、予備や「念のため」を考慮すれば最終的に3基は導入されると思います。となれば、合計で2,400億円ですね。少ない防衛費からこれだけ捻出するのは痛いですが、「専守防衛」を貫く限りは仕方ないでしょう。導入は「最速」で実現するそうですが、それでも実際に配備されるのは2023年になる見通しです。

aegisashore01発射時の様子

運用に関しては、陸上自衛隊が担当することとなり、配備先も日本海側にある陸自駐屯地のいずれかになりそうです。筆者の予測では秋田や島根などが有力な候補ではないかと。ミサイル防衛に関しては海上自衛隊がイージス艦、航空自衛隊がPAC3を担当しています。陸上自衛隊がイージス・アショアを運用することによって陸海空3自衛隊が全てミサイル防衛に関わることになり、一体感を高めるのが狙いです。

他にも、人員に比較的余裕がある陸上自衛隊にミサイル防衛の一翼を任せたいという思惑もあるでしょう。イージス・アショアの配備によって常に出ずっぱりのイージス艦に少し余裕が生まれます。現状では、大気圏外での迎撃はイージス艦しか担えないため、ずっと続く緊迫した任務に人員不足の海上自衛隊が逼迫しています。

そのため、中国海軍の進出が著しい南西諸島方面に貴重なイージス艦を割く余裕がありません。イージス・アショアの導入によってミサイル防衛におけるイージス艦の負担が軽減できれば、その分中国海軍の対処に回せます。こうした切実な実情もあるはずです。

6隻しかないイージス艦にとって今の体制は厳しい・・・

さて、次に効力についてです。2015年5月にはハワイのカウアイ島に設置された試験用のイージス・アショアからSM3ミサイルの発射試験が行われました。これはあくまで「発射」するだけの実験であり、実際に迎撃して目標に当てることはしませんでした。そして、同年12月には実際の迎撃実験が行われ、無事標的の破壊に成功しました。これらによって発射、そして探知と迎撃をする能力があることを証明しました。

イージス・アショアは海上配備型のイージス艦に対してアメリカが以前実験に成功した地上配備型:※GBI の一種です。MD対応型イージス艦が搭載しているものと同様のシステムや能力を持っていると見られているので性能はミサイル防衛手段としては十分ではないでしょうか。成功率は日米のイージス艦が実験で成功した迎撃率の70~80%あたりになるかと思われます。

画像引用元:https://www.flickr.com/photos/mdabmds/

http://www.mda.mil/index.html

http://www.lockheedmartin.com/

 

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「[イージスアショアとは?]陸上型イージス,性能,日本,自衛隊,導入,範囲,価格?」への4件のフィードバック

  1. 写真を見る限りイージスアショアは結構規模的には大きいようですが 将来的に小型かし、簡単に移動でき設置可能なものに出来ますか?

    1. 現在と過去のイージスシステムを比較しても、性能の差はあれども大きさ自体はあまり変わっていないように見受けられます。ある程度小型化することは可能でしょうが、開発元のアメリカはそこまでする気がないのかもしれません。イージスアショアも広大な土地を持つアメリカでは問題にならないでしょうし、移動式の小型レーダーとしてはTHAADがありますので。イージスアショアはカバーできる範囲がPAC3よりもはるかに広く、高いので無理に移動式にする必要はないと思われます。役割分担という形でそちらはPAC3なり、THAADなりに任せた方が効率的なのでしょう。

  2. 現在の世界情勢を見渡す時、全てとは云いませんがそこに、相対する人々(生き物)に対して思いやりが皆無な状態に、ただただ切なく辛い思い出、いっぱいです、これも国連に正す事が出来ないことに怒りを感じます、拒否権が存在している以上無理でしょうかね?

    1. アクセスとコメントありがとうございます。私自身も国連の無力な実態に嘆きを禁じ得ません。未だに第二次世界大戦のいわゆる戦勝国だけが拒否権を持ち、日本、ドイツ、インドなどの他の主要国が持っていない構図は「時代遅れ」ですし、国際情勢を前に国連が非力な要因です。しかし、元々戦勝国クラブからスタートした国連なので、過度の期待は最初から無理だったのかもしれません。最強の既得権益である拒否権を五大国が手放す可能性は皆無でしょうし、残念ながら今後も大きな変化は見込めないでしょう。結局は力を持つ者がルールを決め、政治における主導権を握るという残酷な現実からは逃れられません。それでも、難民支援や復興支援など国連による一定の成果があるのも事実です。もう国連はそうした面での成果を上げられる「世界最大のNPO団体」という感じで割り切るしかないのかもしれませんね。

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