[日韓関係]歴史問題,最悪,今後悪化,安全保障,慰安婦合意,再交渉?

日本の隣国である韓国ですが、ここ数年の両国関係は「最悪」の状態です。政治レベルでも民間レベルでも冷え込んでいますが、果たして今後はどうなるのか?そして、そもそも日本にとって日韓関係は何を意味するのでしょうか?今回は日本の隣国との関係を考察していきます。

関係悪化の原因:歴史問題

まず、韓国は日本の隣国であり、民主主義や自由主義などの価値観を共有します(中国、北朝鮮、ロシアよりは)。ただ、両国関係は現在冷え込んでおり、過去最悪とも言われています。主な原因は「歴史問題」です。事実として日本は1910年から1945年まで韓国を含む朝鮮半島を統治していました。これをどう評価するかで日韓関係のみならず、日本国内でも論争の種になります。

確かに、戦前は労働力やコメ、石炭などの供給源として朝鮮半島を活用しました。そして、多数の日本人が移り住みました。そういう意味では「植民地」でしょう。その反面、日本本土からの投資によってインフラ整備などを行なった面もあります。全てが100%極悪非道の政策だったわけではないでしょうが、「民族の誇り」や独立国家である今の韓国という観点から見れば、負の時代と認識するのは自然でしょう。

 

請求権と仲裁委員会の存在

では、この日本統治時代を清算したはずの日韓基本条約(1965年)についてです。この基本条約の付随協約の一つに「日韓請求権並びに経済協力協定」と呼ばれるものがあります。この協定の第2条に両国は請求権問題の完全かつ最終的な解決を認めるということが書かれています。つまり、もう過去に関する賠償は終わりであると明言しているのです。

しかし、その次の第3条にはこう書かれています。

この協定の解釈及び実施に関する両締約国の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとする。それでも解決できなかった場合は、一方の要請によって第三国の委員を含めた仲裁委員会が立ち上げられ、この委員会の決定に従うべきである。

 

あまり知られていないこの条文ですが、まるで将来的に韓国が請求権協定を蒸し返すことを予想したかのようです。では、なぜ日本と韓国はこの条文にある仲裁委員会を要請しないのでしょうか?

 

考えられるのは、この仲裁委員会の構成における問題です。委員会は日韓双方から1名ずつの委員が出されます。そして、第三国の委員1名を含めた3人で協議がなされます。問題はこの第三国の委員の存在です。日韓双方の委員はそれぞれ互いの立場を譲るわけがありません。ということは、全ての行方はこの第三国の委員一人の肩にかかります。そして、この第三者は日韓双方が合意する国もしくは委員でなければなりません。

つまり、どこの国の誰がこの委員に選出されて、どちら寄りになるかがカギとなり、この人を巡って熾烈な戦いが起きます。結局、どちらの主張を採用しても大きな禍根が残り、本当の意味での解決になるとは思えません。こうした事態になることが容易に想像つくなかで、一体どこの国が仲裁を引き受けるでしょうか。

 

日韓双方が合意しそうな国なので、例えば、韓国寄りの決定を下しそうな中国はないでしょう。考えられるのはアメリカもしくは完全な中立国ですが、同盟国同士の争いにアメリカがこれ以上介入したくないと思います。仮にスウェーデンやスイスなどの中立国だとしても、どのみち禍根が残る仲裁に関与したいでしょうか?もはや、どこの国にとっても触りたくない腫れ物のような案件です。

まとめると、仲裁委員会という方法がありますが、それは第三国を巻き込むだけであり、むしろ遺恨や対立を激化させるだけとなります。そのため、日韓だけで解決するのがベストであるという認識ではある程度一致しているのでしょう。

 

慰安婦合意はどうなるのか?

 

日韓関係を最悪にまでさせているのが「慰安婦問題」です。ここでは、慰安婦問題についての詳細は言及しません。しかし、1965年の時点で請求権問題は解決していたはずなのに韓国側が蒸し返してきました。そして、日本の悪行を広めるために世界中でプロパガンダ合戦を繰り広げ、日本大使館前には慰安婦像を建てました。大使館や領事館は外交関係に関するウィーン条約で保護されています。そのウィーン条約の第22条にこうあります。

 

接受国(この場合は韓国)は公館の安寧に対する妨害、威厳の侵害を防止する責務がある。

 

大使館の目の前に慰安婦像があり、ひっきりなしに抗議活動をするのは同条約違反と言えます。そして、それにきちんと対処しない責任は韓国側にあります。

 

さて、この慰安婦問題については2016年12月末に日韓でようやく合意がなされました。本来なら1965年に解決しているはずの案件なので日本側としては応じる必要はないのですが、ここが外交的譲歩なのでしょう。肝心な時に同盟国同士が対立するのを見かねたアメリカの圧力もあったのでしょう。

合意では日本が10億円を拠出して、韓国側が設立した団体を通して支払われました。この合意で慰安婦問題は最終的かつ不可逆的に解決されたことを確認しました。アメリカも支持と歓迎の意を示して、合意にお墨付きを与えました。一方、韓国側は日本から要求された大使館前の慰安婦像に関して撤去に向けた努力をするとはずでした。しかし、2017年1月に早速この期待が裏切られます。

釜山の日本領事館前に新たな慰安婦像が設置されたのです。そして、朴槿恵の退陣と文在演大統領の就任で合意そのものを認めない動きが加速します。文大統領は破棄まではしないようですが、国民感情的に合意は受け入れられないという趣旨の発言をしています。そして、アメリカの新聞インタビューでは日本の公式な謝罪が重要であると述べました。またもや蒸し返しの兆候が出てきたのです。

 

結局、ゴールポストを再び動かされ、合意が形骸化する未来が見えてきました。さらに、徴用工など新たな問題も引き起こして日韓関係は「過去最悪」から「ずっと最悪」になるでしょう。少なくとも、当面の間は良好な関係になる要素がありません。言うまでもなく、原因は国家間の合意を蒸し返して国民感情を優先させる韓国側にあります。

 

内閣府の調査より

 

ここ数年、国民感情を優先させて国家間合意を反故したり、過去の問題を蒸し返して世界中に発信する韓国に日本国民はうんざりしています。「嫌韓」とまではいかないまでも、一般国民の間で「韓国疲れ」が広がっているのは確かです。もはや、何をしても過去にこだわり、未来志向なんて実現しないという「諦め」の気持ちが蔓延しています。

そのため、こうした問題に20〜30年前なら応じていた日本が今や存在しないことを韓国側がきちんと理解する必要があります。時代は変わりました。長年にわたって歴史問題を蒸し返して世界中に反日宣伝を続けた結果、日本国民の韓国に対する不信と疲れはもはやポイント・オブ・ノーリターンのところまで来ました。これからは日本国民がもう甘くないこと、韓国に疲れと諦めの感情を抱いていることを受け止めない限り、関係改善は無理です。

 

日本にとって韓国とは?

 

この状況に対して日本はどうすべきか?

 

その前に、そもそも日本にとって日韓関係とは何でしょうか?

国際政治の観点から言えば、日本と韓国は安全保障上の利益を共有しています。北朝鮮という共通の「敵」を抱え、本来なら中国に対しても同様のはずです。そのため、アメリカは日米韓の連携を重視しており、極東安定のためにはこの協力が必要です。

地政学的にも朝鮮半島は戦略的に重要であり、韓国がいわば防波堤のような役割を担ってくれます。地政学的には韓国はリムランド(辺縁部)にあり、対する日本はヒンターランド(後背地)です。ランドパワーの進出に対してシーパワーの戦略物資をリムランドに供給する重要な場が後背地です。

実際に、朝鮮戦争では北朝鮮・ソ連・中国のランドパワーに対してシーパワーのアメリカがヒンターランドである日本を補給・後方支援拠点として使いました。そして、それは現在も変わりません。つまり、日本にとって韓国は防波堤のような存在ですが、韓国にとって日本は有事における死活的な支援拠点です。失えば、ランドパワーの進出に対して存亡が危うくなり、本来は敵に回さないはずです。

 

 

 

本質的な意味では日本にとっては日韓関係はあくまで日米同盟+αの存在です。アジア太平洋の安全保障は今後、日米同盟+αの体制で動きます。この+αにはオーストラリアやインドも加わりますが、本来であれば韓国も入ります。だが、韓国側は中国にすり寄ったり、日本との関係を悪化させているので当分の間は日米+韓の構築は難しいでしょう。極端な言い方をすれば、日本にとって日韓関係はあくまで副次的なものであり、死活的なものではありません。アメリカとの関係や政策に連動して変動します。いわば、日米関係という大きな太い木から伸びる枝の一本です。

 

これらを踏まえた上での日韓関係の今後ですが、日本としてはあえて関係改善を急ぐ理由はないと思います。もちろん、隣国であり、安全保障上の利益を共有する国なので本当は良好な関係を目指すべきです。しかし、韓国側が国民感情を優先して国家間合意すら守れない状況ではどんな協力でも前進は難しいでしょう。

こちらとしては特段焦る必要はなく、韓国側が態度を改めるまで静観するのが策です。実際に、朴槿恵政権は就任してからしばらくは安倍首相と会いもしませんでしたが、中国寄りの政策の代償を今になって後悔しています。いずれこちらに歩み寄ってくるのを待ち、外交上優位な状況を作るのが得策です。

そこで、関係悪化の原因は韓国側にあることをアメリカにきちんと説明しながら、日米同盟と日米印、日米豪の連携を粛々と進めていくべきです。アメリカにとっては戦略同盟である日米同盟と地域同盟である米韓同盟では重要性が異なります。そして、アメリカの仲介を得て、お墨付きまで与えた日韓合意を履行しないのは韓国であることは明白です。巧みにアメリカの圧力を使いながら、まずは関係を深化できるところから専念すべきです。

 

画像引用元:www.kantei.go.jp(首相官邸HP)
www.mofa.go.jp/mofaj/(外務省HP)
www.cao.go.jp(内閣府HP)

 

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