[日印関係]日本/インドが安全保障協力!軍事同盟,合同演習?

アジアで成長著しい国といえば中国がまず頭に浮かびますが、インドの台頭も地域のパワーバランスにおいて見逃せない動きです。同じアジアにおいて民主主議、海洋の自由などの価値観を共有する日本とインドは外交・安全保障においてさらに強固な協力関係を構築する可能性を秘めています。

 

000050449

アジアにおいて経済的に急成長を遂げている国といえばまずは中国が思い浮かぶでしょう。しかし、インドも将来的にアジア屈指の大国になりうる潜在力を秘めています。インドも急激な経済成長をしており、軍事力も増強しています。世界最大の民主主義国と呼ばれるインドとの安全保障面での協力関係が今後はより一層重要になっていくと予測されます。

まず、インドはあまり軍事大国のイメージはないでしょう。むしろインドが軍事パレードでサーカス並みの華麗かつ複雑な技を披露する姿が印象強いです。しかし、強いて言うなら陸軍大国といったところでしょうか。確かに陸続きで隣国のパキスタンと犬猿の仲であるため、陸軍主体の軍事力となっています(人員110万人)。

しかし、近年は海軍と空軍にも力を入れており、今後もさらに増強していく予定です。意外なことにインド海軍は空母と原子力潜水艦も保有しており、人員58,000以上、艦艇220隻(47.2万t)ほどを運用しています。空母は中国の空母「遼寧」同様にロシアなどから払い下げで購入した中古ですが、運用実績ではインドの方が上です。しかし、近年急速に拡張してきた中国海軍がインド洋にまで出没する事態を受けてインド海軍は2027年までに空母3隻(国産空空母の建造)、潜水艦20隻以上をさらに増強する予定です。インドにとっても死活的なインド洋が中国海軍の影響下に置かれるのを阻止するために外洋海軍を作り上げてインド洋地域を掌握する狙いがあると言えるでしょう。

 

V_aditya_9_0

 

こうしたインドの海軍力強化は日本にもメリットとなりえます。他の国々同様にインド洋は資源を輸入する日本にとっても死活的な生命線です。重要な航路が通るインド洋が南シナ海同様に中国軍の勢力圏に組み込まれるのは何としても避けたい事態です。しかし、海上自衛隊にはインド洋での警戒監視・通商護衛に割く余力がありません。既に予算不足からくる人員不足、海賊対策のためのソマリア沖への派遣、東シナ海での中国との対峙、そして南シナ海の問題だけで手一杯なのです。

そこで増強中のインド海軍と連携するというのは合理的かつ現実的な選択肢と言えるのではないでしょうか。日本とインドは戦後に国交を樹立してか良好な関係を築いてきており、近年では安全保障面での協力関係も目立っています。例えば海上自衛隊は昨年インド洋で実施されたインド海軍とアメリカ海軍の定期的な合同訓練「マラバール」に参加しました。集団的自衛権の限定行使を容認する法案が可決された昨年にこうした合同訓練に参加したことは意義が大きいです。

 

photo03030026

 

2国間でも合同演習が2012年に東京沖で初めて行われ、翌年にもインド洋で実施されました。こうした2国間での合同演習も今後実施される見通しです。さらに、2015年の海上自衛隊の観艦式にインド海軍の艦艇が参加しており、今年2月上旬にインドで行われたインド海軍主催の国際観艦式に海上自衛隊の護衛艦も参加しました。このように両国の安全保障面での協力関係を内外にアピールしています。そして、武器輸出三原則の緩和を受けてインドに海上自衛隊の誇るUS-2救難飛行艇を輸出する話もよく耳にします。オーストラリアに潜水艦を輸出する可能性が高いようにインドも日本の防衛装備品の輸出先として注目されており、こうした話が出るということは如何に両国の安全保障協力の期待と潜在力が大きいかを顕著に表しています。

 

良好な関係を持ち、民主主義国家であるインドは安全保障上のパートナーとして有力です。特に日本とインドは領土問題や歴史問題もないので安定した協力関係が望めます。実際に安倍首相の提唱した「安全保障のダイアモンド構想」ではインドはアメリカ、オーストラリアと共に重要な一角を担っており、日本側のインドに対する期待の大きさが伺えます。

 

日本とインドが安全保障面で関係を深化させるのはアメリカ側の戦略からしても合理的です。軍事予算の削減に苦しみ、中国との相対的な国力の低下が懸念されているアメリカはアジア太平洋での優位と秩序維持のために「リバランス政策」を掲げています。しかし、このリバランス政策は従来よりも同盟国・友好国の負担の増大と同盟国・友好国間の連携強化を必要とします。そのため、日本、インド、オーストラリアなどの地域におけるアメリカの主要国が連携協力を進めているのはアメリカの戦略に合致します。

これら各国は現段階でも近い将来的にも単独で中国に軍事的に対抗し得るだけの軍備を整備する可能性が低いため、アメリカとの連携やある程度の依存は残ります。そのため、「アメリカ抜き」という選択肢は現実性が低く、アメリカを交えながらこれらの国々が連携を強化していくという動きが予測されます。つまり、日本がインドやオーストラリアなどと安全保障面で協力を深化させていくのはアメリカの戦略を補完するものなのです。余談ですが、昨年話題となった集団的自衛権の限定行使容認はこうした多国間での安全保障協力を実現するためにも使われるのです。

 

photo03030015

日米印の合同訓練の様子

 

無論、こうした協力関係の強化はインド側にとってもメリットがあります。中国に単独で対抗しようとすれば軍事費は膨大なものになります。しかし、中国がインド洋の覇権を握るのを阻止するために他国と連携してこれを牽制することでコストが下がります。実際、中国は「真珠の首飾り戦略」「海のシルクロード」と呼ばれる構想でインド洋からアラビア海に至るまでの地域での経済的利益や輸送路を確保しようとしています。これらの主要目標にはパキスタン、バングラデシュ、スリランカなどのインドの隣国が入っており、インドとしてはそれらの国々が中国の影響下に置かれるは避けたい事態です。

そこで日本やアメリカと協力することで中国の影響力をなるべく下げる試みが出てきます。しかし、インドにとっても中国は重要な貿易相手であり、インド自身が他国との同盟関係を忌避する「非同盟主義」という冷戦以来の伝統があります。そのため、日米と中国で巧みにバランスを取りつつも海洋での安全保障では日米との協力を重視するでしょう。つまり、正式な「同盟」ではなく「重要かつ緊密な安全保障上のパートナー」という形で「準同盟」にとどまるものと思われます。それでも世界最大の民主国家であり、いずれ経済力でも軍事力でも地域大国としての地位を確立するであろうインドと安全保障面で手を結ぶことは日本にとってメリットがあります。両国の戦略的利益が合致しており、首脳間レベル(安倍首相とモディ首相)でも良好な関係を築いている今がこうした協力を強化・深化させる時機といえるでしょう。

 

画像引用元:www.mod.go.jp/ (防衛省HP)
indiannavy.nic.in(インド海軍HP)

 

1 2 ・・・次のページ

スポンサードリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です