【安保法制懇の報告書②】集団的自衛権とは?わかりやすく!

前回は個別的自衛権と集団的自衛権の説明、安保法制懇の2008年報告書の中身について見ていきました。今回は2014年、今年5月にまとめられた報告書について見ていきましょう。

 

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まず日本は1981年の政府による答弁書で

日本は国連憲章第51条によって集団的自衛権を行使する権利を持ってはいるが憲法9条の下において許容される自衛権の行使は必要最小限の範囲にとどめるべきであり、集団的自衛権の行使をその範囲を超えるものである。

 

と解釈しており、その政府見解は今まで続いてきました。   しかし、先月まとまられた報告書では日本の安全保障情勢は1981年と比べて激変しており、具体的には・・・

  • 技術の進歩と脅威やリスクの性質の変化
  • 国家間のパワーバランスの変化
  • 日米関係の深化と拡大
  • 地域における多国間安全保障協力などの枠組みの動き
  • 国際社会全体が対応を余儀なくされる事象の増加
  • 自衛隊の国際社会における活動の増加

 

このように北朝鮮のミサイル問題、中国の軍拡・台頭、国際テロの広がり、海賊対策、国連PKO活動への参加など日本の安全保障面での変化は集団的自衛権に関する政府解釈が出された1981年とは比べものになりません。そのため、時勢に相応しい安全保障の在り方を考える必要があると報告書は主張しています。

 

故に報告書は日本の安全保障環境を考えると個別的自衛権だけで日本の安全を確保することは難しく、これまでの政府解釈である「自衛のための措置は必要最小限度」の「必要最小限度」の中に集団的自衛権の行使も含まれると解釈すべきであるとの結論を出しています。さらに、集団的自衛権の行使を可能とすることは、他国との信頼関係を強化し、抑止力を高めることで紛争の可能性を未然に減らすことができるという見解も報告書に載せており、今までの安保体制を大きく見直べきであると示唆しています。

 

集団的自衛権の行使容認の裏付けとして報告書は国連憲章の他に日本が締結したサンフランシスコ平和条約と日米安全保障条約について言及しています。サンフランシスコ平和条約では第5条において、日米安全保障条約では前文において個別自衛権とともに日本の集団的自衛権の保持が明確に記されています。

 

○国連憲章第51条

この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。

 

○サンフランシスコ平和条約第5条

連合国としては、日本国が主権国として国際連合憲章第五十一条に掲げる個別的又は集団的自衛の固有の権利を有すること及び日本国が集団的安全保障取極を自発的に締結することができることを承認する。

 

○日米安全保障条約前文

両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し…

 

さらに、報告書は集団的自衛権の不行使の解釈が固定化されていく際に個別的自衛権だけで日本と日本国民の安全を確保できるのかという点について十分な議論が行われていないことを指摘しています。そして、国連安保理における拒否権の存在が国連の機能不全を起こすと心配して、個別的自衛権だけでは国家の生存を全うできないとした中米諸国の訴えが集団的自衛権の規定に結び付いたという歴史的事実があります。こういった経緯も考慮する必要があると述べています。

 

報告書では日本と密接な関係にある外国に対する武力攻撃があった場合、集団的自衛権の行使を認めて国際平和及び安全の維持・回復に貢献すべきであると提言しています。そして、個別的自衛権の拡大適用では限界があり、国際法違反になる可能性もあるので集団的自衛権による平和・秩序維持が望ましいとのことです。

 

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以上が今回の安保法制懇によってまとめられた報告書の概要です。今後の日本の安全保障政策に大きく影響を与えるであろうこの安保法制懇の報告書、そして集団的自衛権問題。賛否両論の思いがそれぞれお持ちかとは思いますが、日本に住み、この国の未来を生きる一人の国民としてこの問題について真剣に考えてみてましょう。みんな同じ「日本丸」に乗る国民です。決して他人事ではありません。まずは安保法制懇の報告書を自分でじっくり読んでみたり、安倍首相が国民に自分の考えを説明した記者会見を見てみてはいかがですか?

 

安保法制懇の報告書は⇒コチラ

安倍首相の記者会見動画は⇒コチラ 

 

なお、今回の安保法制懇は以下のメンバーで構成されています。

  • 岩間陽子   政策研究大学院大学教授
  • 岡崎久彦   岡崎研究所所長
  • 葛西敬之   JR東海会長
  • 北岡伸一   国際大学学長
  • 坂元一哉   大阪大学大学院教授
  • 佐瀬昌盛   防衛大学校名誉教授
  • 佐藤謙    元防衛事務次官
  • 田中明彦   国際協力機構理事長
  • 中西寛    京都大学大学院教授
  • 西修      駒沢大学名誉教授
  • 西元徹也   元統合幕僚会議議長
  • 細谷雄一   慶応義塾大学教授
  • 村瀬信也   上智大学名誉教授
  • 柳井俊二   国際海洋裁判所長

 

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