[シリーズ]嘉手納基地の反対運動は?普天間問題と比べると?

沖縄の基地問題といえば、「普天間基地と辺野古移設問題」が頭に浮かぶでしょう。しかし、沖縄には普天間基地よりも広大な「嘉手納基地」があります。極東最大の空軍基地とも言われる嘉手納基地は普天間と比較してあまり話題に上りません。では、嘉手納基地に関しては果たして反対運動はあるのでしょうか?

嘉手納基地とは?

嘉手納基地は沖縄本島中部にある巨大な空軍基地です。3,700mの滑走路が2本ある広大な敷地を持ち、面積では普天間基地の4倍近くあります。どれだけデカイかと言うと、羽田空港の二倍の面積を誇り、滑走路では成田空港に匹敵する規模です。つまり、日本を代表する国際空港並みの飛行場が丸々軍用として存在するのです。嘉手納基地は空軍基地なので戦闘機を中心におよそ200機の軍用機が常駐しています。まさに、青森県・三沢基地と並んで極東における米軍の航空戦力の要です。

元々は沖縄戦に備えて日本軍が1944年に飛行場を築いたのが始まりでした。米軍上陸後はアメリカ軍の基地として使用され続け、ベトナム戦争でも爆撃機の出撃拠点となっていました。土地のほとんどは本来は私有地であり、年間230億円以上が土地の所有者に支払われています。基地自体は嘉手納町、沖縄市、北谷町の3つの自治体の上に跨っており、普天間同様に交通や往来の面で不便な状況を作り出しています。そして、主に戦闘機部隊が駐留しているので、普天間よりも騒音が深刻です。

 

反対運動は?

では、嘉手納基地を巡っても反対運動はあるのでしょうか?結論から言えば、あります。しかし、規模と盛り上がり具合としては普天間問題ほどではなく、大手メディアもあまり着目しません。これは一見すると不可思議でしょう。だって、嘉手納の方が面積も大きく、騒音も酷いはずですから。

まず押さえておかねばならないのは、普天間と違って嘉手納基地は空軍基地であることです。純粋に統計的な見方をすれば、海兵隊と空軍では犯罪発生率に突出した違いはありません。しかし、海兵隊の方がネガティブな印象があるのは事実です。今まで起きた大きな性犯罪事件は海兵隊員が関わっていることが多いため、どうしても負のイメージが拭えないようです。こうした印象からも空軍基地の嘉手納よりも海兵隊のいる普天間と辺野古の方が反対運動が起きやすいのかもしれませんね。

 

そして、嘉手納基地は今のところ移設する計画はありません。もちろん、沖縄県としてはない方が良いのでしょうが、特に具体的な移設計画はなく、近い将来も出てこないでしょう。理由の一つとして、嘉手納基地の戦略的価値が高まっているからです。先ほども言ったように、嘉手納基地は空軍基地です。しかも、常駐戦力は極東最大・最強クラスです。

 

嘉手納基地の空軍戦力
(米空軍ゴールドフェイン参謀総長Twitterより)

 

中国の海洋進出と軍拡を念頭に置けば、南西諸島の防衛が日本にとっての喫緊の課題です。そして、アメリカとしても日米同盟を維持しながら、自らが築いたアジア太平洋の秩序を安定させるには中国が第一列島線に進出するのを食い止める必要があります。現代戦は航空優勢が勝敗の鍵を握ります。航空優勢(制空権)がなければ、まともな軍事作戦は遂行できません。つまり、南西諸島の航空優勢を確保するためには、嘉手納基地にいる強力な空軍戦力が欠かせません。

もし、仮に嘉手納基地がなくなって、米空軍がグアムまで引けば、戦時に自衛隊のみで南西諸島の航空優勢を確保することは難しくなります。それほど今の中国軍は戦闘機を質・量ともに急速に強化させているのです。今後、中国軍は空中給油機や早期警戒管制機にも力を入れると思われますが、そうなったら自衛隊だけで航空優勢をしっかり確保できるかは怪しくなります。

このように考えれば、嘉手納の空軍戦力の意味がより一層大きな意味を持ちます。沖縄に中小国の空軍力に匹敵する戦力が常駐しているのといないのではかなり違います。

 

この「価値」を理解しているからこそ、嘉手納に対する反対運動も普天間ほどは激化しないのかもしれません。もちろん、普天間の次は嘉手納という可能性は十分あります。しかし、殴り込み部隊である海兵隊と作戦の根幹中の根幹である航空優勢を担う空軍では戦略的価値があまりに違います。現代では航空優勢を失えば、脅威は一気に現実味を帯びます。もしかすると、反対派の人たちも実は心のどこかで同様に思っているかもしれませんね。

 

余談・・・

 

ちなみに、嘉手納基地には一般人でも誰でも入れる場所があります。それ「シーサイドリストランテ」と呼ばれるレストランであり、ステーキなどアメリカンな食事ができる場所です。このレストランは嘉手納基地内にありますが、普通に誰でも入れます。ゲートはありますが、国道58号線からそのまま曲がって入れます。パスポートも身分証明書も要りません。日本人の店員もいるので日本語は通じますし、支払いは円でも大丈夫です。もちろん、客も店員もアメリカ人が多く、ドル払いもできます。ですが、誰でも米軍基地内に入って食事できるという意味では貴重な場所です。

 

ランチのステーキは$18(およそ2,000円)

 

レストランのすぐ側にはビーチがあり、これも誰でも入れます。ビーチとレストランからはすぐ近くを離陸する米軍の戦闘機や空中給油機が多数見れます。筆者が行った時は、1時間で15機以上目撃しました。まさに、一般の日本人にはあまり知られていない穴場スポットです。嘉手納マリーナを目指して国道58号を走れば、行けるので気になる方はぜひ行ってみましょう(入り口の看板が少し分かりづらいけど)。

 

>>>続く

 

画像引用元:www.pref.okinawa.jp (沖縄県HP)

 

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