[南西航空方面隊を新設]混成団を格上げ!第9航空団,司令官,警戒管制?

去る7月1日、沖縄県那覇基地にある航空自衛隊の南西航空混成団が方面隊へと格上げされました。方面隊の新設は実に56年ぶりであり、南西諸島の守りを固める上で欠かせない取り組みです。最前線で常に中国軍と対峙し続ける那覇の空自は、まさに現代の防人です。

混成団を方面隊へと格上げ

まず、航空自衛隊には戦闘機部隊、高射部隊、警戒管制部隊をまとめ上げる航空総隊という組織があります。これは日本の防空を統括・指揮するものであり、いわば昔の連合艦隊のようなものです。そして、今までの航空総隊は3つの方面隊と1つの混成団で構成されていました。混成団は方面隊よりも規模が小さく、戦闘機部隊は方面隊の半分ほどです。例えば、方面隊は通常2個戦闘航空団を中核としますが、混成団は1個しか保有しません。

主な仮想敵国が北方のソ連であった冷戦期においては、南西方面における脅威はあまりありませんでした。しかし、今や中国が仮想敵国であるのはほとんどの人が認識するところであり、南西諸島防衛は喫緊の安全保障課題です。そのため、自衛隊の戦力も遅まきながら南西シフトを加速させており、航空自衛隊も例外ではありません。

従来、南西方面の防空は那覇基地にある南西航空混成団が担当していました。これは他の地域よりも規模が小さく、ある意味「手薄」でした。中国の脅威に直面する中で、防衛省は中期防衛力整備計画で混成団を方面隊へと格上げすることを決定します。

まず、スクランブル発進の6割(800件以上)を担当して疲弊した状況を改善すべく、戦闘機飛行隊を倍増させて第9航空団を創設します。そして、今回は方面隊への正式な格上げが実施されました。

 

南西航空方面隊の戦力とは?

56年ぶりに新設された南西航空方面隊ですが、司令官には武藤茂樹(空将)が着任しており、麾下3,200人の人員を統率・指揮します。そして、方面隊の主力を担うのはF-15J戦闘機を約40機保有する第9航空団です。これは毎日のスクランブル発進で最前線の中国軍と渡り合うため、精鋭パイロットが集まれた練度の高い戦闘機部隊です。そして、ミサイル迎撃用のPAC3を配備する第5高射群や対空レーダーで監視・要撃管制を行う警戒管制団も所属しています。

○南西航空方面隊

人員:3,200人

戦闘機:F-15Jを約40機

所属部隊:第9航空団、第5高射群、南西航空警戒管制団、施設隊、音楽隊

 

これを見て気付いた人はいるでしょうか?

最初に方面隊は通常2個航空団で編成されると書きました。しかし、南西航空方面隊は第9航空団しかありません。そして、高射群や警戒管制団もそれぞれ1個しか所属していません。ということは、今の南西航空方面隊は混成団と同じ規模なのです。現時点では混成団並みの戦力しか保有しておらず、悪い言い方をすれば看板だけ格上げした状態です。

では、意味はないのか?そうではありません。名前だけでも方面隊へと増強したことは中国に対して重要なメッセージになります。日本は決してこの方面の防空を疎かにせず、日本の空での航空優勢は渡さないという意志表明です。

問題はこの後どうするかです。このまま混成団規模の戦力を維持するのでは確かに見せかけの増強で終わります。現在、那覇基地は混雑する那覇空港と同じ滑走路を使用しているため、展開できる戦力に限度があります。3年後に完成する第二滑走路を使用すれば運用改善は進むものの、これ以上の戦力配備は難しいでしょう。

ということで、考えられる策は主に二つです。一つは、F-15Jよりもはるかに高性能なF-35J戦闘機を優先配備して「質」で大幅増強する方法。F-35Jは現時点で42機配備する予定ですが、情勢を鑑みれば追加調達はほぼ確実でしょう。仮に、那覇基地にF-35Jを2個飛行隊展開させれば強力な防空戦力となります。

もう一つは、部隊の新設です。考えられるのは、現在使われていない良質な空港・下地島空港に航空自衛隊を配備することです。ここに新たな航空団を新設して、早期警戒管制機や空中給油機なども配備すれば南西諸島方面の航空戦力は一気に飛躍します。

どのみち、今後何らかの増強が図られるとは思いますが、装備と人員のための予算が出なければ部隊の新設は難しいでしょう(ただでさえ、戦闘機飛行隊のやりくりは全国でカツカツです)。時間的猶予があまりない中では、まずはF-35Jの優先配備を進めるべきかもしれませんね。そして、GDP1.5〜2%を目指すと言われている中できちんとした予算が付けば、航空団の新設などを進めるべきです。

画像引用元:www.mod.go.jp/asdf/(航空自衛隊HP)

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