[北朝鮮問題]なぜ核爆弾・ミサイルを開発?核兵器保有の理由,目的とは?

今年ずっと北朝鮮情勢が緊迫の度合いを増しており、年内にも米朝が軍事的に激突するのではないかと言われています。2週間おきにミサイルが発射され、空襲警報が鳴り、在韓邦人の避難計画が聞こえてくる状況です。では、そもそも北朝鮮が核開発にこだわる理由とは何でしょうか?

北朝鮮の歴史

そもそも、なぜ北朝鮮はアメリカとの衝突の危険を冒してまで核兵器開発を進めるのか?一言で答えるならば、「安全保障のため」です。これを理解するにはまず北朝鮮の歴史を知る必要があります。

北朝鮮は1948年に建国されましたが、ソ連が後ろ盾となって作った国です。アメリカをバックに付けた韓国に対抗するために作られたソ連の手下みたいなものです。朝鮮戦争後もソ連、そして同じ共産主義の中国がバックに付きます。これら二つの強国から経済・技術・軍事支援を受けることによって北朝鮮という国は発展してきたのです。今では信じられないことですが、1960年代までは北朝鮮の方が経済的に韓国よりも上だったのです。

ところが、1991年末にソ連が崩壊し、1992年には同盟国・中国が宿敵・韓国と国交を結びます。つまり、北朝鮮として2つの後ろ盾が一気に失われ、「孤立」した気持ちです。ここで、自分を守るために安全保障の強化を目指します。しかし、大きな問題があります。

なぜ核開発に走ったか?

普通、安全保障を高めたかったら、軍事力を強化したり、同盟を組んだりします。でも、韓国やその後ろにいるアメリカに対抗できるだけの国力を持つ同盟国候補はいません。ロシアはソ連崩壊の余波で苦しんでいましたし、中国も韓国と国交正常化したばかりです。そのため、新たな同盟を組む選択肢は消えます。

そうなると、軍事力を強化するしかありませんが、北朝鮮の場合は経済が絶望的な状態だったので、お金が圧倒的に足りません。本来ならば主敵・韓国軍に対抗できるだけの通常戦力を整える必要がありますが、この時点の北朝鮮の経済力ではほぼ不可能です。

それを実現するには長期的に経済を発展させ、軍事力を高める「富国強兵」しかありませんが、時間的余裕がありません。なぜなら、冷戦に勝利したアメリカが「民主主義」を広めるという大義名分の下、各地の独裁国家に圧力を掛けていた時期と重なったからです。実際、2000年代にイラクやリビアの独裁者がアメリカによって倒されたのを見て、北朝鮮は自分もターゲットにされる疑いを深めます。

となれば、北朝鮮の目標は限られた資金と時間を使って最大の安全保障を確保することです。ここで「核開発」という答えが導き出されます。長期的に通常戦力を近代化・強化するよりも核兵器を進めた方が効率的なのです。しかも、一旦核を保有すれば最強国・アメリカといえども容易に手が出せません。

実際、イラクやリビアが核兵器を保有していたらフセインやカダフィ政権は倒れていなかった可能性が高いです。それを北朝鮮はよく知っており、自国の体制維持のためには核保有は最低限の前提条件、そして最強の保険なのですそこから未だ「休戦状態」にある朝鮮戦争を正式に終結させてアメリカと平和条約を結ぶのが狙いと思われます。

つまり、限られた経済力・時間を効率的に使って最強の保険である核兵器を保有します。そこからアメリカと正式に和議を結び、「金王朝」の体制維持を認めさせます。このように、元々の動機を考察すれば、「防衛的」なのです(無論、これはどの国でも同じだが)。ただ、理想の安全保障を確保する手段が我々にとって黙認できないほど攻撃的なのです。戦略的には「防衛」だが、それを達成する戦術的手段が「攻撃的」ということでしょう。

今後どうなる?

単に核爆弾を持ってもそれを遠くまで運ぶ手段がなければあまり意味がありません。そのために、現在必死でアメリカまで届くミサイル(ICBM)を開発しているのです。

アメリカまで届く核兵器(ICBM)が完成すれば何を意味するのか?それは北朝鮮とアメリカの間に一定の相互確証破壊が成立することになります。相互確証破壊とは、A国・B国が互いに相手を確実に破壊できる手段を持っている状況です。仮に、AがBを核で破壊しても、Bは確実に反撃してAも破壊できる能力を持つことです。

この状況が成立した場合、どちらが先に動いても結局最後には共倒れです。そのため、互いに攻撃しようとせず、逆説的ですが「平和」が生まれます。冷戦時代は米ソ間でこの状況が確立されて平和が保たれました。

ただ、もしどちらかが相手の攻撃を無力化できれば相互確証破壊は成立しません。アメリカ(そして、日本も)は弾道ミサイルの迎撃手段を複数展開しているので例え北朝鮮がICBMを完成させてもすぐさま相互確証破壊は成立しません。相互確証破壊を成立させるには北朝鮮がアメリカから攻撃を受けても「確実に」反撃できる能力が必要です。

本来、地上発射型の核兵器を手にした国は次に発見されにくい潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)に力を入れます。SLBMはICBMと違って海中から発射されるため、探知が難しく、奇襲をしやすい手段です。そのため、事前攻撃でも生き残る可能性が高く、確実に反撃できます。しかし、これの大前提はあくまで潜水艦が発見されないことです。北朝鮮の潜水艦は半世紀前の代物のなので位置はいつもバレバレです。

そのため、北朝鮮はSLBM自体よりも、その開発で得た技術を使って移動式の短期間発射型ICBMを最終目標としているはずです。従来のように発射台に運んで燃料を悠長に入れていては敵の攻撃に晒されます。そこで、位置をつかませないために「移動式」に改造し、さらにSLBMのように固形燃料を使うことですぐに発射できるようにします。この運用が定着すれば、隠蔽しやすくなり、奇襲もできます。現在の北朝鮮が取れる手段の中で最も「相互確証破壊」に近づけます。

 

まとめると

北朝鮮が核開発に走るのは、

  • 劣勢な経済力で最大の安全保障を確保するため
  • アメリカが手を出せないようにして、金正恩体制を認めさせる(平和条約の締結)
  • 今後は移動式のICBMを追求し、相互確証破壊状態を目指すと思われる

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