[中国空母]「遼寧」空母艦隊が太平洋・南シナ海へ!戦力化,脅威,目的?

中国海軍の航空母艦「遼寧」を中心とする艦隊が沖縄本島・宮古島の間の水域を通過して太平洋に初めて進出。その後、台湾とフィリピンの間にあるバシー海峡を通って南シナ海に入りました。中国海軍が外洋における空母の運用を本格的に始めたといえそうです。果たしてその真意と脅威の度合いとは?

 

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中国はウクライナから購入した旧ソ連の空母を改修して中国海軍初の空母としての運用を目指していました。しかし、「遼寧」と命名されたこの空母は実戦に投入する本格的な戦力というよりは今後の空母運用をする上での「練習艦」という位置付けでした。実際、2番艦となる初の国産空母が大連で建造中であり、来年にも進水する予定です。さらに、3番艦の建造も始まったとの情報もあり、中国海軍の空母艦隊が東シナ海、南シナ海、そして西太平洋を定期的に遊弋する日は近づきつつあります。中国海軍は2020年以降には排水量6万t級の原子力空母2隻の建造にも取り掛かると言われており、通常動力型と合わせて最低でも空母4隻+練習空母1隻の体制を確立することを目指します。

「遼寧」は渤海で初めての実弾演習を実施あと、駆逐艦やフリゲート艦を合わせた6隻で艦隊を組んで東シナ海を航行。海上自衛隊の護衛艦や哨戒機、航空自衛隊の航空機が監視する中で沖縄本島と宮古島の間にある宮古海峡を通って西太平洋に出ました。つまり、中国海軍の空母艦隊は初めて第一列島線を越えたことになります。その後、この空母艦隊は反転して台湾南端沖のバシー海峡を通過して南シナ海に入ったとのことです。ちなみに防衛省統合幕僚監部のホームページでは哨戒活動などで確認された外国軍の艦船や航空機に関する情報・写真が常時公開されています。国民一人ひとりがこうした情報を自ら確認して自国の安全保障にとってどういう事態が起きているのかという意識を高めるのも必要でしょう。

 

 

今回の一連の行動では艦載機「殲15」の離着艦訓練や複数の艦船で艦隊を組む訓練などを実施。実際に空母を運用する時は空母単体では潜水艦などの攻撃に脆弱なため、護衛の味方艦船で艦隊を組んで行動します(アメリカ海軍はこれを空母打撃群と呼称)。つまり、空母1隻につき護衛艦数隻、潜水艦1〜2隻、補給艦が必要になります。これを1セットとして運用するため、戦力化には膨大な維持費や訓練時間を要します。今回の行動は政権移行期であるアメリカや周辺国への「示威行為」であり、「遼寧」は今後も「練習空母」としての性格を維持するでしょう。仮に実戦投入用の戦力としての運用を図るにしても戦力化にはあと数年はかかると見込まれます。問題は今回の件で中国が今後就役する空母を遠洋進出させる意図があることが垣間見えたことです。今後、国産空母が就役したら今回と同様に空母艦隊を組んで外洋に進出することでしょう。では、そもそも中国海軍が空母の本格運用を目指す理由は何でしょうか?

 

今回確認された空母「遼寧」(防衛省提供)

 

近年しばしば登場する「A2AD(接近阻止・領域拒否)」。中国軍の戦略と言われていますが、これは実際には「覇権確立」というよりは台湾有事の際に「介入阻止」をするのが目的です。台湾は中国にとっては絶対譲れない「核心的利益(北京からすれば固有領土)」であり、未だに人民解放軍が「解放」できていない地域です。中国が未完である「統一」を目指しているのは確かであり、「反国家分裂法」でも明らかのように台湾が仮に独立に舵を切った場合は武力を使ってでも阻止・統一を敢行する構えです。

 

しかし、中国にとって台湾統一の最大の障壁は日米同盟です。戦略的要衝の沖縄に駐留するアメリカ軍や横須賀の米第7艦隊は邪魔な存在でしかありません。アメリカは台湾関係法によって台湾と事実上の同盟関係を結んでおり、日本も重要影響事態法などによって台湾有事の際は台湾防衛を行う米軍を支援します。このように中国側から見れば台湾統一する上で日米(主にアメリカ)の介入を阻止しないことには統一は成功しません。

 

そこでアメリカ軍や自衛隊が台湾有事の際に来援するのを阻止、さらに周辺海域での行動を制限するA2AD戦略を推進しています。実は「A2AD(Anti Access/Area Denial)」とはアメリカ側の呼称であり、中国側は「介入に対する対抗措置(Counter-Intervention)」と呼んでいるそうです。つまり、台湾有事を主眼においていることが分かります。南シナ海で人工島を建設して「北京の湖」にしようとしているのも台湾有事における優位性を確立するためです。さらに、南シナ海の場合は核ミサイルを搭載した原子力潜水艦を潜航させてアメリカとの相互確証破壊状態(MAD)を作り出す狙いもありそうです。つまり、南シナ海や東シナ海での一連の行動は台湾有事にリンクしているといえるでしょう。

 

 

A2ADは主にミサイル(対艦弾道ミサイルなど)を使って米軍の接近を阻止すると言われていますが、今回の行動で空母を使って来援する米海軍を阻止する意図もありそうです(無論、性能・経験・技量の差はありますが)。しかし、アメリカ側としても仮想敵国に空母運用能力があるのとないのとでは対策や費用も全然違ったものになるでしょう。それに加えて中国空母の遠洋訓練は今まで中央の山脈に遮られている上に大陸と正対する西部と比べて安全だった台湾東部にも艦載機などを使用した攻撃を加えられることを示しました。

いずれにせよ、今回の空母艦隊の航行は台湾はもちろんのこと日本にとっても脅威となりえます。特に沖縄方面の近海に今後空母艦隊が遊弋する可能性は大いにあり、日本としては南西諸島の防衛体制の確立が喫緊の課題です。中国海軍は宮古海峡を通過するのが定石となっているので宮古島への対艦ミサイル部隊の配備も急がれることでしょう。益々活動を活発化させる中国海軍と空軍に対する警戒監視を強化するとともに、有事の際に南西諸島を防衛できる体制を作っておく必要があります。

 

⚪︎画像引用元:www.mod.go.jp/js/ (防衛省統合幕僚監部HP)

 

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