[一帯一路とは?]中国,目的,政策,構想,参加国,AIIB,失敗,アメリカ,日本?

2017年5月に中国・北京で「一帯一路」と呼ばれる経済圏構想に向けた国際会議が開かれ、安倍首相も先ごろ協力を表明しました。中国主導の経済圏構想と呼ばれ、参加することや構想が実現することで中国の影響力が強大になるとの警戒感があります。果たしてこの「一帯一路」構想とは何か?

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一帯一路とは何か?

「一帯一路」は中国からヨーロッパまで至る広大な経済圏を築く構想であり、2014年に中国によって提唱されました。英語では「One Belt One Road」や「Belt and Road」と呼ばれるこの構想は主に二つの計画から成ります。一つは「シルクロード経済ベルト」であり、これは中国西部から中央アジアを経由してヨーロッパまで鉄道や道路で繋ぐ陸の経済圏です。そして、もう一つは「21世紀の海上シルクロード」であり、中国南部から東南アジア、インド洋諸国、アフリカ東部やペルシャ湾岸諸国を結ぶものです。

 

内閣府HPより

まず、シルクロード経済ベルトに関しては既に中国西部や中央アジア諸国のインフラ整備などが始まっており、鉄道も中国から遥かイギリス・ロンドンまでの貨物輸送に成功しています。中国としては陸路を通じたヨーロッパとの貿易促進はもちろんのこと、天然ガスなどの資源が豊富な中央アジア諸国への影響力を拡大する目的があるといえます。13億人という膨大な人口を抱える中国にとっては、一党独裁政権の正当性保持のために常に経済発展を実現して民衆を満足させねばなりません。そのためには、まずはエネルギーの確保が至上命題です。

中国国内でも石炭や石油は採れますが、巨大な人口の経済活動を支えるには安定的に外部から輸入する必要があります。そして、輸入したエネルギーを使って生産したものを同じルートを使って各地に輸出します。このように、一帯一路構想はエネルギーの安定確保と経済発展を支える輸出のための計画です。AIIBなどの基金を使って投資を促進し、インフラ整備を主導することで各国における影響力を強めます。

21世紀の海上シルクロード構想も同じことであり、中東からの石油資源を安定的に輸入するルートとともに、輸出のための港湾設備やシーレーンを確保します。このように、陸と海の二つのルートを駆使することで滞りなく資源を中国に運び、生産したものを各国に運び込んで儲けます。近年、中国では過剰生産が表面化しており、それらを外部に輸出することで外貨を稼ぎたいのでしょう。国内だけでは捌き切れない生産物を、まずは一帯一路構想のためのインフラ整備に振り向けることで経済発展を持続させる目的があるといえます。巧みな政策ではありますね。

そして、インフラ整備などの投資を主導することでユーラシア大陸における経済圏の盟主としての地位を確立する狙いもあるでしょう。特に、トランプ政権によってアメリカがTPP*から離脱し、「保護貿易的」との印象を強める中で、自由貿易を推進するリーダーとして中国の存在感が高まっています。

*TPP環太平洋戦略的経済連携協定について

むろん、中国としてはWin-Winな関係や各国のメリットを全面に押し出してアピールしますが、言葉通りに受け取るのは愚行です。日米は参加しておらず、カシミール問題で対立するインドも消極的な姿勢を示しています。そのため、経済規模で言えば、中国がダントツで影響力を持つのは目に見えており、もし構想が完成すれば事実上の中華経済圏となるでしょう。

日本はどうすべきか?

一帯一路に関しては中国は100以上の国や地域から支持されていると言います。5月の国際会議には130カ国以上が参加し、その意義と成果が大々的にアピールされました。しかし、実際に積極的に関与しているのは中央アジア諸国やロシア、一部の東欧・東南アジア諸国です。日本やアメリカは政府関係者などを送り、G7ではイタリアのみが首脳を送り込みました。

まず、ロシアとしては旧ソ連圏である中央アジアに中国の影響力が及ぶのは面白くはないはずです。しかし、経済力ではかつての「兄・弟」の立場は逆転しており、参加することでなんとか事業の共同推進者としての立場が欲しいのでしょう。ロシアも自国主導のユーラシア経済圏や北極航路整備の構想を持っており、願わくば一帯一路にあやかることで計画を進める思惑がありそうです。傍観するよりは、実際に参加することで少なからずの影響力を及ぼし、中国一辺倒の経済圏にならないようにチェックするつまりかと。

次に、インドは今回の会議への参加を拒否し、構想自体を批判しました。実はシルクロード経済ベルトにインドと中国が長年対立するカシミール地方が入っており、これを領土主権を侵害するものとして反発しています。ただ、それ以外にも理由はありそうです。中国は海上のシルクロード構想のためにインド洋への影響力を強めており、インドはこれを警戒しています。バングラデシュ、スリランカ、ミャンマー、パキスタンなどに港湾施設を整備しており、これらを繋げる計画があります。形から「真珠の首飾り戦略」と呼ばれており、港湾への中国海軍の駐留や経済活動保護の名目の下、インド洋に海軍が進出する思惑があるとも言われています。

そのため、インドはかなり警戒感を強めており、これらの国々が中国の衛星国家のようになるのを恐れています。実際、スリランカでは巨大な港などのインフラ整備が中国主導で進められていますが、結果としてスリランカ政府は借金漬けです。このままでは、スリランカは中国の持ち物になるとも言われており、一帯一路はこうした国々をさらに生むだけと批判されています。

さて、日本についてですが、安倍首相は先般、協力を表明しました。AIIB同様、投資における透明性の欠如や、中国主導であるとの点などから日本は関与を控えてきました。日米同盟が基軸である日本は同じく一帯一路構想に消極的なアメリカと歩調を合わせています。その代わり、TPPでアメリカとともに主導的役割を担うことで独自の自由主義経済圏を構築しようとしました。しかし、肝心のアメリカが離脱したことで期待が一気に萎みました。

戦略の練り直しを迫られた日本は、同じく中国主導のRCEPやこの一帯一路構想に参加すること検討し始めたのでしょう。確かに、中国主導という点とルールの不透明さは懸念すべきです。だが、傍観するよりも参加して幾ばくかの影響力を行使した方が得策かもしれません。つまり、加入して日本と似たような価値観や懸念を持つ他の参加国と連携することで、なるべく中国主導からこちら側に引き寄せる狙いがあります。果たして上手くいくかどうかは分かりませんが。

ただ、参加するメリットとしては微妙でしょうね。インフラ整備に日本企業が参加したり、中国のお金で各地に整備したインフラを日本も貿易で使えればいいですが。ただ、中央アジアから中国を経由して天然ガスパイプラインでも通すならばいざ知らず、地理的にはそこまでメリットがあるとは思えません。日本の輸出品を中国経由で中央アジア諸国に運び込むぐらいでしょうか?大々的に参加するほどでもないような。

21世紀の海上シルクロード構想も中国が整備してくれる港湾を利用できたり、インド洋各国の経済発展にあやかればメリットありますが、日本のシーレーンとも重複するこのルートで中国の影響力(特に中国公船や海軍)が強まるのは懸念すべきでしょう。

日本としてはアメリカと歩調を合わせながら、とりあえず関与はすることで、透明性のあるルールや枠組みの構築を目指すべきです。協力するからには、とにかく中国一辺倒のものにはならないように、なるべくこちら側に引っ張るべきです。現時点では協力を表明しただけ、まだまだ具体性はないようですが、いずれアメリカとともにAIIBへの参加もあり得るかもしれません。これだけの国と地域が関与する経済圏ですから、各国の利害は易々とは一致しません。その間隙を縫って、日本の影響力を浸透させるべきです。

画像引用元:www.cao.go.jp/ (内閣府HP)

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