[シリア問題とは]わかりやすく解説:内戦原因,現状,アサド,アメリカ,ロシア,イスラム国?

ここ数年で一番の国際問題とも言われる「シリア問題」。内戦、難民問題、イスラム国などで取り上げられるシリアですが、そもそもなぜこのような混沌とした状況になったのでしょうか?そして、現在はどうなっているのか?

 

大まかな基本構図

まずは、中東地域における大まかな構図です。

大国レベル:アメリカ vs. ロシア

地域大国:サウジアラビア(スンニ派)vs. イラン(シーア派)
イラン vs.イスラエル
サウジアラビアvs.イスラエル*

*サウジアラビアとイスラエルはお互いに国家承認していないが、共にアメリカの同盟国であり、「反イラン」という意味では利害は一致している。

 

・アサド支持:ロシア、イラン、ヒズボラ(レバノンの武装勢力)

・反アサド:アメリカ、サウジアラビア、トルコ、イスラエル

現在、シリア国内はロシアに支援されたアサド政権軍やロシア軍部隊、レバノンのヒズボラ民兵がいる一方、アメリカに支援された比較的穏健な反政府勢力(自由シリア軍やシリア民主軍等)が存在。さらに複雑なことに、アメリカからテロ組織扱いされている反政府勢力(ヌスラ戦線など)やイスラム国(ISIS)も入り乱れているため、シリア内戦は群雄割拠の混沌とした状態が続いている。

 

内戦の原因と現状は?

シリア問題の発端

まず、シリア問題についてはアメリカとロシアがそれぞれアサド政権の存続を巡って真っ向から対立しているおり、平行線を辿っています。2011年、「アラブの春」の影響を受けた反政府・民主化要求デモに対してアサド政権は弾圧を加えました。その後続いた暴力の連鎖の中で、反政府勢力に対して化学兵器を使用した疑いのあるアサド政権をアメリカは容認しません。しかし、アサド政権はロシアにとっては旧ソ連時代からの重要な同盟国であり、何としてもこれを守り抜くようです。ロシアにとっては似た価値観を共有する同盟国であり、ロシア海軍の拠点もあるなどの利害があります。そして、中東におけるロシアの影響力を保持・強化する上でもアサド政権を守る姿勢を一貫しています。

内戦に突入したシリアではロシアが支援するアサド政権軍と反政府勢力に分かれました。しかし、反政府勢力も様々な組織で構成されており、統一性を欠きます。なかにはアルカイダ系のテロ組織もあり、アメリカとしても容易に全面支持はできません。バラバラな反政府勢力の中で穏健派をアメリカは支援、訓練しますが大きな戦力とはなりませんでした。一時はアメリカ率いるNATOが介入するかと思われましたが、オバマ大統領は最後の決断で躊躇します。こうして内戦が長引く中で、ISIS(イスラム国)が隙を突いて台頭します。弱体化するシリアの中でISISは勢力を伸ばし、遂にはラッカやイラクのモスルといった都市を制圧します。ここで、シリア内戦はアサド、反政府、ISISという三つ巴の戦いに突入します。

 

 

現状と和平へ向けて

気になる和平への動きですが、米露両国ともISISの殲滅やシリア和平を実現するという点では一致しています。しかし、内戦後のシリアの統治構想でビジョンが一致しません。戦後の統一政府でアサド一派と民主化を求める反政府勢力をどう遇するかで意見がまとまらず、結局内戦が長引いています。アサド大統領に対して「安心供与」を行って、退く代わりに身分と生活を保障するという案もあります。しかし、自国民に化学兵器を使った疑いがある独裁者を無罪放免でいいのかという倫理的・法的問題が浮上します(移行期の正義問題)。このように一つひとつの問題に誰かの利害や懸念が入り乱れる極めて複雑な様相を呈しているのです。

そんな中、2016年末にはロシアに支援されたアサド政権軍が反政府勢力の重要拠点であったアレッポを制圧しました。これによってアサド政権軍が勢いを盛り返しつつあり、反政府勢力にとっては大きな打撃となりました。さらに、強権的な姿勢を見せるトルコがロシアに接近しており、ロシアとトルコによる動きが目立ちます。同じく2016年末にはロシア主導による停戦合意が成立し、最近ではシリア-トルコ国境沿いに避難民用の安全地帯を築く動きが活発化しています。このようにロシア主導の動きが目立ちますが、トランプ政権がアサドへのミサイル攻撃を行ったように、アメリカも関与していく姿勢を強調はしています。

 

しかし、実際に和平が成立しても現状では反政府側が劣勢であるため、アサド側に有利な形となるでしょう。予測としてはアサド大統領一派が引き続き権力を握り、反政府側の要求はあまり実現しないでしょう。よくて、政権に逆らったことに関する罪を赦した上で一定の自治をもらえる程度かと。反政府側の事実上の敗北で終わる可能性が高いです。

実際、アメリカはこれを容認する構えで反政府勢力支援のために積極的には動きません。アメリカ側はシリア戦略が失敗しつつあり、アサド・ロシア側の勝利に終わりつつあるのを受容しているのでしょう。その一方で、アメリカ支援のシリア民主軍はISISの自称首都たるラッカに迫りつつあり、対ISISという点では米露は協力はないものの、同じ相手に向かってぞれぞれが空爆などを実施しています。アメリカがシリア問題から少し遠ざかりつつある中で今後はロシアに支援されたアサド政権側が盛り返し、ISISを攻撃する中核を担うクルド人勢力が影響力を拡大するでしょう。そしてクルド人の影響力拡大を嫌うトルコはクルド人を攻撃するためのシリアへの介入を増やすことが予想されます。

 

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