2016年10月19日、三菱重工の造船所で新型護衛艦、いわゆる「25DD」と呼ばれていた艦が進水しました。新型護衛艦は潜水艦に対する対応を重視した対潜型であり、緊迫する東シナ海での情勢などへの任務に就きます。あきづき型に続く汎用護衛艦の登場に期待が高まります。
あさひ型護衛艦とは?
今回の進水式には若宮防衛副大臣を始めとする1,300人の列席の下、新型護衛艦(25DD)は「あさひ」と命名されました。それゆえ、1番艦を含めて護衛艦は「あさひ型」となります(現在のところ2隻の建造が決定済み)。「あさひ」というの名前は1950年代にアメリカから貸与された艦を含めては海上自衛隊の護衛艦としては2代目となります。前級のあきづき型が僚艦防空の機能も備えた艦隊の防空担当艦であったのに対して、あさひ型は艦隊の中でも主に対潜哨戒・戦闘を担当する艦となります。
あさひ型護衛艦の完成予想図
あきづき型護衛艦については
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今回進水したあさひ型の詳細については
→新型護衛艦25DDの最新情報,建造状況は?16セル?
対潜型ということもあって、ソナーは艦首に装備するOQQ-24と曳航式のOQR-4の新コンビネーションを採用。発信と受信を別々の艦が行うことによって対潜能力の精度を高めます。さらに、新アスロックと呼ばれる07式VLAや3連装短魚雷発射管から射出する対潜兵器として最新の12式短魚雷が装備されます。
さて、前甲板に搭載されるVLS(垂直ミサイル発射基)はあきづき型の32セルから半減して16セルと言われていました。しかし、最新の外見を見る限り、どうやら16セル以上(おそらく32セル)は確実にあります。「16セル」と言われていたのはあくまで噂に過ぎなかったのでしょう。
あさひ型はあきづき型にはあった僚艦防空能力(LAD)がない分、対潜能力は大幅に強化されています。いずも型やひゅうが型護衛艦の搭載機やP-1哨戒機と連携して強力な「潜水艦狩り艦隊」が近い将来出来上がります。
さらに、エンジンとしてガスタービンと電動機を2基ずつ組み合わせた「ガスタービンエレクトリック・ガスタービン複合推進方式(COGLAG)」を護衛艦として初めて採用しています。これによって従来の艦よりも効率的な燃費を実現できるとされており、既に試験艦「あすか」で試験済みです。ただし、コスト軽減のために「あすか」とは若干異なる設計をしており、どこまで予定通りの燃費を発揮できるかは未知数です。「あさひ」は2018年3月の就役を予定しており、2番艦は2017年10月に進水します。
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⚪︎画像引用元:http://www.mod.go.jp/msdf/ (海上自衛隊HP)